godlh
後を追う
何も合図はしていないけど、僕と惟の足は、理科室に向っていた。
理由はわからないけど、僕の心臓は妙に弾けていた。
―――落ち着け。
苦しくなるくらいにはしゃぐ心臓に、僕はそう言い聞かせた。
「秀郎、どうかしたのか?」
惟が変に思ったのだろう、声を掛けてきた。
「ううん、何でもない。」
「そっか。ならいいんだけど。」
その時だった。
僕たちの前に、あいつと愛内さんがいるのに気がついた。
「秀郎。」
「うん。」
その様子は、只事とは思えなかった。僕たちは、気がつかれないように、ゆっくりとふたりの後を追った。
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