godlh
ふたりきりになれば、昨日のように自分の事を大好きにする自信が、彫野にはあった。けれども、そのふたりきりになる術をまったく考えていなかった。
まさか、人間にここまでいいようにやられるなんて思っていなかった。だんだんと、死神としてのプライドが顔を覗かし出した。
―――うっとうしい。
そう思うと、体が勝手に反応した。誰も周りにいない事を確認すると、あゆみの手首を掴んで引っ張った。
「来いっ。」
「痛い。」
あゆみの言葉など、気にする事もなく彫野は力任せに、あゆみを理科室に引っ張り込んだ。
ガラガラと、扉が大きな音を立てて閉じた。
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