godlh
授業も上の空になっていた。
ノートも取らず、窓から見える空を見ていた。
そんな様子を気にかけて、彫野が声をかけてきた。
「どうしたの?元気ないみたいだけど。」
「ううん。何でもない・・・。」
「そんな事ないんじゃない?今朝とはまるで別人みたいに、元気がないよ。」
「本当に大丈夫だから。」
「そっか、わかった。でも、俺で良ければ何でも相談にのるからね。」
「あ、ありがとう。」
視線を感じた。彫野が振り返ると、梢が自分たちの方を、ジッと睨むように見ていた。梢だけでない、リアも、いや、クラス中の女子たちが見ていた。
―――撒き餌は、いい感じだね。
うっすらと、彫野は笑みを浮かべた。
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