【完】神様のうそ、食べた。
「だか、俺は怒ってるんだぞ、蓮川」
「――はい」
「同じ職場で働く以上何でも相談しろって言ったろーが。もう少し早く俺に相談してたら反対してやってたのに」
「部長……」
そんな仕事でも『とろい』とか『押しが弱い』とか散々怒られていた私が、部長に恋愛相談なんて出来るわけないのに。
「何を言われて地元まで逃げて来たのか知らないが、負けたらダメだって言ってるだろーが」
「――すいません。でも、ここじゃなきゃ心の整理は着かないんです。まだ、実は着いてません。まだ現実を上手く受け入れて、前を向いて歩くのは難しい、です」
そうだ。
私は逃げてきた。あの街に居たら、彼の思い出とか、診断結果とか、
あの夜のこととか、全て全て思い出しそうで。
――侑哉がいるこの街に逃げて来たんだ。
「――まだ腐ってんな」
灰皿に煙草を押しつけると、二個目煙草に火を付ける。
「『でも』『だって』。ああ、うぜー。お前は根性あるから期待してたのに鍛えないとすぐ才能を無駄にする」