【完】神様のうそ、食べた。

「なぐ!?」

どうして、部長も侑哉も、すぐ手を出すの!?

ってか、部長、ペンより重たい物は持たない主義だとか言ってたし、そんな細い体でよく殴れたね……。

「まさか、企画室長になったのは、殴った為の左遷!?」

「馬鹿か。どうみても出世だろ。営業先で色んな声を聞いたから、それをまとめて提出したら思いのほか好感触だったんだ。だが、営業課の奴らには説明しといたぞ。
『蓮川の婚約者は、未だにお風呂にママンと入っていて、それを見た蓮川が逃げ出して破談になった』と」

――酷い。色々酷い。

彼には散々傷つけられたけど、そんな根も葉も無い噂が流れちゃうなんて。

地元が遠くて良かったなって、感情移入してしまった。


「で、お前の弟は正しいな。俺が殴ったら、差し歯が飛んだよ。
あれ、お前の退職金を慰謝料にしたらしいな」


そこまで話したんだ。彼は。
なんか遠くの異国での話の様に聞こえてくるけど、一応私にも関係ある話なんだよね。

他人事のように聞こえてしまうのは、部長が淡々と、何気ない一コマのように語るからだ。
さすが、トークは上手い。
< 46 / 281 >

この作品をシェア

pagetop