【完】神様のうそ、食べた。
「俺が引き取る予定だったんだけどさ、福岡で一 人働いてるし、養子縁組って手続きがややこしく てさ。今はうちの両親の籍に入ってるから、戸籍 上では義理の兄になるんだ」

複雑そうな問題を、部長はそうあっさりばっさり 説明すると、急に話を変えた。

「有沢をあのお嬢ちゃんは気に入ってくれるか な?」

「……さあ。お似合いの美男美女ではありますけ ど」

「有沢だけはやめといた方が良い気がするんだ が、今度こそ奴を信じてやりたい気持ちもあるん だよ」

「何がですか?」

色々はぐらかされても、話なんて分からないし部 長が何を言いたいのかなんて想像できない。

「教えるからお前も教えろよ」

煙草を噛みながら偉そうに言う部長は、腹が立つ けど怖くて言い返せない。

潮風は少し肌寒く、最低限のオシャレしかしな かった薄いセーターにデニムのジーンズだけでは 寒さを誤魔化せない。 風に髪がなびき、視界の部長が所々隠れる。 隠れても尚、部長の視線は真っすぐ私を見つめた ままだった。
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