ヒマワリ君の甘い嘘





***






「やばいやばいやばい〜!!」




完全に遅刻…





高崎と一緒に出かける日になり、さぁ準備をしよう、って
クローゼットの前に経って一時間半。



やっと服が決まったと思い、時計を見ると、

待ち合わせ時間の30分前。



お約束すぎて笑えないっつーの!



急いで家の戸締りを済ますと、バッグの中へと持ち物を突っ込み、玄関まで猛ダッシュ。


乱暴に靴を履いて、外に出ると
あたしの気持ちをそそのかすような曇り空だった。


蒸し蒸ししてて、暑い。



生ぬるい風が、焦りまくりのあたしの頬を撫でる。



こんなにも気持ちの悪い風、久しぶりかもしれない。


セットした髪の毛は、湿気で必要以上に絡まるし、
露出した肌が、暑さと汗のせいでペタペタする。


これだから夏は苦手なんだ。



毎日気持ち良く晴れてくれれば、こんな苦手になんかならないのに。




肺に入ってくる、湿った土の匂いのする空気にウンザリしたあたしは、ドアを勢い良く閉めた。



ガチャンッ、と大きい音が鳴り
さらにあたしのイライラを促進させる。


それに加えて、
バッグに入れたつもりの家の鍵が見当たらない。



こうなるくらいなら、
服なんか適当に選べば良かった!



「もうっ、何処よ!」



チッと舌打ちをして、ゴソゴソとカバンの中を漁る。


きっと誰かが見たら、
まるで仕事にでも遅刻しそうなキャリアウーマンみたいに見えちゃうのかな。



ま、高校生に見えないのは確かだ。



ーチャリン


と、音が聞こえて、足元を見れば
可愛いキーホルダーがついた家の鍵があたしの足のそばに落ちている。



「あった!」



手を伸ばして、拾おうとした時



ー ヴーヴー



ポケットに入れておいたケータイが震えた。




「(こんな時に朝から電話!?)」



家の鍵をかけながら、ケータイに応える。



「ーはい」



苛立ちが声に出てしまった、と気づいたのは言ってしまった後。


やってしまった、と
電話の相手に申し訳ない気持ちで、改めて言う。



「もしもし?」



誰からの電話なのか、画面も見ずに出たあたしが悪かったんだ。




『もしもし。ごめん、朝から。俺だけど』




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