哀しみの瞳
(重子)
「もう一つ。私の仕事だけどね…助産婦なんだよ!赤ちゃんを取り上げたり、その後のケアや、お風呂に浸からせたり、病院の産婦人科でお産の手伝いをしたり」


(理恵)
「えええっ!おばあちゃんの仕事って、助産婦さんなんですかぁ!」



(重子)
「ああっ、はいよ!あの時…旦那が亡くなって、でも、生活していかなくてはいけないでしょ?もう死にものぐるいで頑張ったのよ!毎日勉強したり、赤ちゃんの扱い方を教わりに行ったり。免状もらうまでは、そりゃ大変だったわよ!あの時は私にとっては、青春だったねぇ!」



(理恵)
「晴れて合格した時は、さぞや、嬉しかったでしょうね?私も、つい最近の事だけど、合格発表を見て来た時、天にも昇る位に嬉しかったもの。」


(重子)
「ええっ、でも、それどこじゃないくらい生活してくのが先だったから、必至で働いたわ!……あの頃が何だか懐かしいわね。一生懸命生きてるって感じがして、毎日がとても、充実してたわね!」


(理恵)
「私も、この子の為なら、何でもします!私…頑張れるって、気がするんです」



(重子)
「でも、理恵ちゃん、無理するんじゃないよ!お産は、一人ひとり違うんだからねぇ、しかも、あんたは、どう見ても、身体弱そうだし、よく、大きい病院で、お医者様に診て貰わないと!私も一緒に付いて行ってあげるから、いいね?」



(理恵)
「はいっ、重子助産婦さん!これからも、理恵の事よろしくお願いします!」
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