哀しみの瞳
全員で反対したにも関わらず、由理は一人で秀一の所へ行くと言って訊かなかった。
自分で貯めたお金で切符まで用意してきた。



(由理)
「大丈夫だからっ!ちゃんと帰って来れるから!」



まるで日帰り学習にでも出掛けるみたいに、自分で嬉しそうに準備をしていた。



秀は、大学とアパートの住所を書いた紙を渡した。万が一に備えて、現金も渡し、何かあったら、必ず電話をするようにと、念を押した。



秀の胸の内は、何故か言い様も無い不安がよぎった。
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