哀しみの瞳
翌日、コーラス部へ行くと、部長という人を、紹介された。 「部長の矢部 郁子です、よろしく!」 「昨日の、副部長とは、うって変わって、落ち着いた人だ。 「1年の、吉川 理恵です」 「本当、久美の言ってた通り、声の小さい子ねぇ」 「はっ?いっ」 「まぁ、やり甲斐はあるわねぇっ、これから、まずは、発生練習からね!!はぁーい、そこのふたり?暫くは、この1年生の、発生練習見てやって!」 という訳で、私はコーラス部に入部した。 大きい声を出さずに、15年間生きてきた私にとって、苦痛の 何者でもなかった。 副部長の鈴木さんは優しいのは、いいのだけど、あの高いテンションには着いていけない。 部長の矢部さんは、たまにしか声を掛けてはくれないが、適切に私の悪い所を突いてくる。 休まずに毎日行っている自分が、何となく不思議に思っていた。
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