哀しみの瞳
みち子が部屋を出て行き、一人になると…


由理は、部屋の大きな窓から見える外の景色を眺めた。


何と穏やかで、美しい眺めであろう。



しかし…此処には、大好きな美佐子も、美紀も居ないのだ。いつも厳しいことばかり言う甚一の声も聞こえない。冷静で、頭が良くて、いつも相談にのってくれた父、秀も居ない…



そして……誰よりも、秀一が此処には居ない…………


さっきまで、強がっていた自分が…今は……



涙が後から後から溢れ出てくるのを、止めることが出来ない由理であった。
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