哀しみの瞳
みち子は、由理が何時の頃からか……誰かを待っているような……そんな気がしてならなかった。


由理は、この家に来てからというもの、必ず殆ど無意識にしていることがある。



朝起きてから、直ぐに窓から外を眺め、寝る前にもいつも、ぼーっと、外を眺めている。


部屋のドア越しから、こっそりとみち子は見ていた。


望郷の念にかられているのでは?と、みち子は思っていた。



ここへ来てからというもの、自分達の前では、お利口な娘を演じているかのようにも見える。


最近の由理は、3人で居ても、余計なことを、一言も話さなくなっていた。
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