危険なアイツと結婚生活
「なぁに、それ?」
蒼は興味津々でCDに手を伸ばす。
そして、
「あっ、MYでしょ?」
少し驚いたようにそう言った。
蒼も知っていたんだ。
さすがだな。
だけど、見られたのが恥ずかしくて。
出来心だけど、MYの曲をギターで弾くなんて能力にも見合わないことをしたのが恥ずかしくて。
あたしは俯いた。
「昨日歌番組に出てたらしくてね、優弥が逸材だって言ってたんだよ?
珍しいよね、優弥がだよ?
俺はまだちゃんと聴いたことないんだけど」
蒼は楽しそうにそう言った。
そして、そのCDをパソコンに入れて再生する。
すると、あたしの脳裏に焼きついて離れない、あの魅惑の旋律が聞こえてきた。
透き通っていて、優しくて、まるで天使の歌声。
いかにも女の子らしい声なのに、どこか力強さもある。
悔しいけど思ってしまった。
あたしは蒼に何一つ勝てるものがない。
容姿、ギターや歌、仕事、給料、性格、友人関係……
今まで劣等感を抱いたことなんて数知れず。
でも、蒼が好きでいてくれるからと前向きに生きてきた。
あたしがもしMYだったら……
少しは蒼に近付けたかな。
蒼と対等に接することが出来たのかな。
こんなこと考えても意味がないのに。
ずっと昔から分かっていることなのに。