危険なアイツと結婚生活
蒼は黙ってあたしを見ていた。
少し心配そうな顔をして。
蒼は人の気持ちに敏感だ。
馬鹿なことばかりするけど、相手をすごく見ている。
そんな蒼が大好きだし、尊敬するけど……
今はこの劣等感に気付いてほしくない。
大丈夫。
少し感傷に浸ったら、あたしはいつものあたしに戻れるから。
「唯ちゃん、頑張ってね!」
蒼はそう言って、笑顔で立ち上がる。
あたしは驚いて蒼を見上げた。
きっと、蒼はMYの曲を完璧に再現してくれると思ったから。
だけど、蒼はギターにすら触れようとしない。
「出来るようになったら、俺にも聴かせてね」
そう言い残して部屋から出ていった。