危険なアイツと結婚生活
「あんた、煙草吸わないの?」
驚いたようにそう言う麻衣子に、
「当たり前じゃん。……臭いし」
ズカズカと失礼なことを言う。
挙げ句の果てには、
「煙草吸う人って大体アタマおかしいよね?
この人とか優弥とか。
ね、唯ちゃん」
なんて言ってあたしの頭に手を伸ばす。
蒼、何言ってるの?
いくらなんでも酷いよ。
そう思うが、その手が髪に触れるだけで身体が痺れて。
顔がぼっと熱くなる。
「蒼、駄目だよ……」
苦し紛れにそう言うと、
「唯ちゃん。本当は嬉しいんでしょ?
ケーキあげるよ」
蒼はいつもの笑顔でケーキを取り、
「あーん」
と言って口元に持ってくる。
こんなにも麻衣子ちゃんの前でイチャついているのはよくない。
でも、やっぱり蒼が大好きでドキドキして。
あたしは言われるままにケーキを食べた。
ほんのり甘くて優しい味のクリスマスケーキは、蒼のようだった。