好きで悪いか!
 だから入学できたときには、とても嬉しかった。
 憧れの制服に身を包み、立派な学び舎に通えることが。

 立派な学び舎には、立派なご学友たち。
 医者の息子だったり、県議会議員の娘だったり、社長令嬢もごろごろ。

 んで、思った。やっぱり私、毛色が違うなあと。
 
 馴染めなさを感じながらも、適当にやり過ごしていたときに、友永先輩に出会った。
 選択を間違えたかと薄っすら後悔を感じていた高校生活が、一気にバラ色になったのは、先輩のお陰だ。

 恋って、素晴らしい。そして残酷。

“はっきり言うけど、君にいい印象は抱いていない”

 フラれた。気持ちいいほどの、玉砕。


 落ち込んでいるときは、体を動かすに限る。といってもスポーツをするわけでもなく、肉体労働ってのが、根っからの貧乏性。
 同じしんどい思いをするなら、お金を貰えた方がいいと思ってしまう。親が成金セレブになった今や、バイトなんかしなくてもいいかと言うと、そうでもない。

 お金にシビアな感覚の母がくれるお小遣いは、ごくごく一般的な高校生のお小遣いだ。
 ぶっちゃけ、それでは特殊なクラスメイトたちとは付き合っていけない。
「ちょっと遊びに行こう」で、万札が飛んで行く。てかみんな、親名義のゴールドカード払いとかなのだ。

 だから私がバイトをするのは、それを名目にして、付き合いを断れるからでもある。
 遊びに誘われても、バイトがあるからと断れる。

「えっ、すごい。バイトなんてしてるんだ」と驚かれるけれど、社会勉強だともっともらしく答えると、感心される。


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