キミとひとつになれたら




キラっと、台所の明かりに反射して光ったのは、包丁。




その包丁には、赤黒い、独特な色の何かが付着していた。





トントントントン、と彼は一定のリズムで何かを切ってる。


彼に近づくと、ふっと、生臭い匂いが。




「うっ……」



嗅いだ事のない匂いに、咄嗟に鼻を押さえた。



その時、ギシっと床が微かに音を立てた。





だけど彼は、それを聞きのがさなかった……。






バッと、こちらを振り返った彼の目はしっかりと私を捉えた。




合う目と目。
止まったみたいに、張り詰めた空気。








「……どうしたの?小春ちゃん」


「っ……」



私の方を向いた彼の姿を見て、息が止まるかと思った。





彼は、白いエプロンをしてた。
手には手袋。




だけど、どちらも赤かった。
白いはずのそれは、真っ赤に染まっていた。






エプロンには、赤い飛沫がたくさん飛び散っていた。



< 64 / 420 >

この作品をシェア

pagetop