涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
私がしてあげられたのは、足を撫でてあげることだけ。
身の回りの世話は看護師さんが全てしてくれて、何もすることがない。
慣れていないので、どこまで手を出していいかも分からない。
役に立てず、悲しくなる。
夕凪にも言われたので、一旦帰ることにした。
でも自分のシャワーや食事を済ませたら、またすぐ病院に戻るつもりでいる。
帰り支度をし
「すぐ戻るね」と声を掛けると、
「今日はいい」
と言われてしまう。
採光のせいか、夕凪の目は暗い色。
スッと目を逸らされ、不安が大きく膨らんだ。
ドアに掛けていた手を外し、ベットサイドの椅子に戻る。
夕凪の手を握り、無理やり視界に自分を入れた。