涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
私の不安は、すぐに伝わる。
夕凪は少しだけ笑ってくれた。
「マジで大丈夫だから。
潮音、夕べ寝てないだろ?
お前もケガしてんのに、付き添わせて悪かったな」
「そんな……
私が付き添いたいからしただけで……」
「ん、ありがとう。
潮音の気持ちは分かってるから、大丈夫。
家帰って休んで。また明日来ればいいから……」
夕凪に何度も大丈夫だと言われ、
病院を後にした。
バスに1時間揺られ、自宅に帰る。
シャワーを浴びて、石鹸がしみる擦り傷に顔をしかめながらも、
夕凪の様子が頭から離れない。
余りにもアッサリし過ぎる夕凪に、違和感を感じていた。
左足の切断という重い事実を聞いても、
実際に途切れた足を目にしても、
「そっか」
と簡単に呟いて終わった。