涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
「潮音?」
私が何をしようとしているのか、
夕凪はまだ分からないみたい。
ピョンピョン飛んで、コンクリートの端に立った。
ニッコリ笑い、
「夕凪、信じてるから」
そう言った。
怪訝そうにしていた夕凪の顔が、焦りに変わる。
「まさか、お前……
バカ、やめろっ!!」
背中に体重を移した。
体が傾き、背中から海に落ちて行く。
夕凪が腕を伸ばした。
その手は私に触れることなく、
空を掴んだだけ。
「潮音っ!!」
私の名を叫ぶ夕凪の顔を見た後は、ザブンとサーフィンエリアの海に沈んだ。
早朝の海は、冷たく澄んでいる。
自由にならない体が、海流にもてあそばれた。