また、
相田翔平
白い菊の花束。
人生最高の嫌味を手に彼と屋上へ向かった。
重いドアを開け、彼の手を引きフェンスに近づく。
天気は快晴、俺の気分は高揚気味。
ニカッと笑って花束を彼に押し付けた。
『また、来世で。』
それが俺、相田翔平の最後の記憶。
真っ青な空の下、彼の顔を最後に見て茶色の地面に向かって飛び降りた。



俺、相田翔平は周りと何ら変わらない。
父親は役所勤めの公務員、母さんは元銀行員OL。
2つ下に妹がいて、妹の彩は兄のよき理解者だ。
そして幼馴染みの上谷弘平。
何も周りと変わらないいたって普通な俺。
いや、俺は少し変わっていて、幼馴染みの弘平が好きだ。
友達として、とかじゃなく恋愛感情がある。
弘平が笑った顔が俺は一番好きだった。

俺は高校生になって初めて酒を飲んだ。
酒や煙草は皆未成年でやっているのが普通だったし、入学祝だとか何だとか言っていた。
友達5、6人で飲んで騒いで楽しい夜だった。
みんな酔っぱらってフラフラで。
でもザルだと言う弘平は周りを見ていていつもみたいに冷静だった。
< 1 / 28 >

この作品をシェア

pagetop