また、
警察が来てどういう経緯でこうなったか聞いてきた。俺は何も話さなかった。短い遺書は誰にも見せず、ただ黙って泣いた。
毎日翔平が落ちた場所に立ち、時にはそこに寝そべり翔平が最後に見た景色を眺めていた。でも翔平は帰ってこない。
こんな事になるなら翔平を好きでいてやればよかったんだ。また来世っていつなんだろうな。俺が死んだら会えるのかどうかもわからない。あんなに笑って死んだ翔平。いつも一緒にいた翔平。もう声もしない。
気がついたら俺は翔平が飛び降りた場所から飛び降りていた。ああ、こんな感じだったのか。
俺はポケットに入っていた遺書を口に放り込み無理矢理飲み込んだ。アイツが俺にだけ渡した遺書を他の奴には見せてやらない。
俺は目を閉じて翔平からした嫌な音を聞いてから目を閉じた。
次会うときには絶対翔平を愛してやろう。二度と死なせはしない。俺が好きで俺に嫌われたことが理由で死ぬなんてくだらないことはさせない。
何よりも翔平がいないこんなくだらない世界にいるなんて俺はもう嫌だった。翔平を拒否したくせに翔平がいなきゃ生きてらんないなんて笑えるな。
翔平が死んでから2ヶ月、俺は死んだ。
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