[中]余命24時間
やりたいことだっていっぱいあった。
言いたいことだっていっぱいあった。
大人になって一生懸命働いて、お父さんとお母さんを支えてあげること。
自分の目指していた職業に就いて、忙しいと思いながらも、それなりに充実した日々を送ること。
家に帰れば、素敵な旦那さんと可愛い子供に囲まれて。
学校の授業がどうだったとか、長期休暇の予定はこうだとかを話し合ったりなんかしたりして。
あたしが作った料理を"おいしいね"って食べて。
お笑い番組を見て、大声で笑って。
他人から見たら"当たり前"かもしれないけれど、その"当たり前"があたしにも訪れると、17年間信じていた。
信じきっていた。
それなのに──…。
突然訪れた悪魔が、日に日にあたしの体を蝕んでいく。
信じきっていた未来がくつがえされ、それが自分には与えられないということを知ったとき。
人間という生き物は、一体どうなってしまうのだろう。