[中]余命24時間
手足の震えが止まらなくて、景色が歪んでいって──…。
"もしかして"っていう、ずるい考えがあったのかもしれない。
もしかして明日美は死んでなんかなくて、まだ家で元気にしていて、
今日は土曜日だからって部屋でごろごろしてるのかもしれないし、
もしくは友達とカラオケにでも行っているのかもしれなくて。
早く電話に出て、元気な声を聞かせて。
"どぉしたのー?"って、いつもと同じくあたしを呼びかけて。
頭の中で、ずっとそう願ってた。
───だけど。
やっぱり世界は意地悪で、そして──残酷で。
いつまでも途切れることのない、冷たい機械音は、
もう彼女があたしの瞳に写ることがないということを遠まわしに言いつけていた。
やがて電話は留守電サービスに接続された。
結局、明日美が電話に出ることはなかった。
明日美はあたしにとって、かけがえのない友達の1人だった。
親友とまでは呼べなかったけれど、それでも、
大切な友達だった。