アンダー・ザ・パールムーン


わたしはこのメッセージに3回、返信した。



[良かったね。初仕事観たかったな。
お題は何?]



次の日。


[ライブ、どうだった?]



その次の日。



[ギター楽しいよ。そっちはどう?
心配してます]




既読になってるのに。


なんで、ラインしてくれないの?
スマホ無くしちゃったの?

なんでTwitterもやめちゃったの?


ひどい風邪引いて、高熱でも出て入院してるとか?



あんなに愛し合ったのに……


泣き明かした夜。

胸が張り裂けそうな、
苦しくて切ない日々。


新しい相棒となったエレキ・ギターを弾いていると、ある考えが閃いた。




わたし、ふられたんだ…



先輩は、好きな人が出来たんだ。

わたしじゃない誰かと恋に落ちたんだ。




わたし、ふられちゃっ…‥…



ポロリとピックが落ちて、
弦に触れた指先に血が滲んだ。


「イタタ…」

「大丈夫?」


ギター教室の先生が、わたしの顔を覗き込む。


「大丈夫です。ありがとうございました」


わたしは血をちゅっと吸ってから、帰り支度を始めた。








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