アンダー・ザ・パールムーン
外はもう暗かった。
わたしは制服姿でギターケースを担ぎ、駅へと急ぐ。
こんなちょこっとの切り傷、なんでもないと思ってたのに。
意外に深いのか、時が経つほどジンジンしてくる。
なんかこの痛み、先輩とHした時の感覚に似てる。
わたしは、何かにつけて今でもちょくちょく先輩のことを思い出している。
あの時は、股に異物が挟まってる感じがして、3日くらいちゃんと歩けなかったっけ……
あれから、ひと月経った今。
わたしのあそこは、普通になったし、胸元につけられたキスマークも跡形もない。
でも、先輩の存在は心の中で大きくなるばかりで、時々嫌。
忘れるなんて出来ない。
きっと、一生わたしの心に住み続けるはずだ。
先輩の心からわたしは追い出されてしまったけれど。
「失わずに同じでいられるはず、なかったんだ…」
東京タワーへの誘いが嘘だったのかと先輩を責める気にはなれない。
都会の魔力に先輩の心は、変わってしまったんだろう。