涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


「泣いてる女の子一人にするほど気の小さい男じゃないけん、俺」


「……それ、気の小さいとか関係なくない?」


「んー?じゃあ……薄情者じゃない!」



じゃあってなによ……ほんとに、バカ。



「ばーか」


「ん」


「ばーかばーか」


「ん。もっと言え」



なんで……

なんでそんなに優しいのよ。


バッカみたい!



「咲夜は優しいな」


「どこが!?意味わからんちゃけど!」



どこが優しいの!?


ただ冷めてるだけやん。

ただ全部を諦めとるだけ。


求めて、手を伸ばして、

届かなかった時のショックが怖いんだ。


わかっとる。臆病者なんだって。


だけど、もういい。本当に。


傷つきたくない。


結果は、もう、出てる。

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