裏切り
三嶋由利亜
「パパ。次の別荘ってどこなの??」
「そのうち分かるよ」父親の穏やかな声。
「もう、教えてくれたって良いじゃない」
「ははっもうじき着くさ」
…どれくらい、寝てしまったのだろう。不意に車が止まったような気がした。
「由利亜。起きなさい。着いたよ」
「あら、いつの間に私寝てしまったのかしら」
「疲れているんだよ、今日はゆっくり休みなさい」
父親が穏やかな声でそういい由利亜を別荘の中へ連れていく。
「明日から練習を始めれば良いからね。今日はゆっくりおやすみ」
そう言い父親は部屋から出ていった。明日からお母様と弟とピアノの先生が来る。そしてコンクールに向けての練習が始まる。
今日はゆっくり休まなくては。そう思い由利亜はまた深い眠りに落ちていった。
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