裏切り
出逢い
プルルルっ。会社にたくさんのコール音が響く。「はいっ!こちら未来事件特別捜査本部です!」亜季の大きな声がオフィス内に響く。24世紀の日本。町並みも以前とは全く違い、車もガソリンでは走らず、電気や太陽光で走り、家庭では洗濯や家事などの習慣はなくなり、全ては科学の進歩により人の手ではあまり行われなくなった時代。それが今の24世紀の日本だ。
亜季の勤める会社であるジャパンポリスも科学技術を使った大手企業でもある。
「高倉ー!今回は何の事件だー??」上司の加藤が亜季に声をかけた。「あ、はいっ!えっと、21世紀に起きた事件なのですが、別荘での大財閥一家無差別殺害事件ですね。」「そうか。結構難事件だな…」加藤がふぅむ…と髭をなでる。「まぁ、いつも通りにやってくれれば全然かまわんよ。期待しているよ。何せ、君はかなり優秀だからね。」「いぇいぇ、全然そんな…」ぽんっと加藤が亜季の肩に手をのせてオフィスから出ていった。「相変わらず、亜季はモテるわね~」にやにやとしながら同期の早苗が声をかけてきた。「ほんっと、高倉さんはうらやましいですよ。僕なんか、全然これっぽっちもかないませんよ。」後輩の山田が苦笑しながら言う。「もう、良いから!早く捜査に行くわよ!山田!早く!」顔を赤くして言う亜季に「へいへ~い」と言いながら山田は亜季についてオフィスを出ていった。2人はある建物に向かった。それはジャパンポリスの職員しか入る事が許されない、ある場所。「高倉さん。名簿あります?」「あ、はい、これ。」山田が真剣な顔でマシンに入力する。「じゃ、準備できたんで、高倉さん、乗っちゃってください」亜季が乗りこみ山田が赤いボタンを押す。カチッと音が聞こえたのと同時に亜季たちを眩しい光が包み込む。光が消えたのと同時に辺りは何事もなかったかのようにしんと静まりかえっている。そこはただの無人の部屋と化していた。
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