晴れ、時々、運命のいたずら
徐々に大きくなる人影がやがて制服を着た女子学生だと認識出来た。
ピンク色のゴムで髪を束ね、色白な横顔が美しくも寂しく見える。
その女子学生も誰かが近づいて来た気配に気付いたのか、愛姫の方にゆっくりと顔を向けた。
愛姫は何も言わず、女子生徒の隣に座った。
「あ、あの…。」
その女子学生は隣に座った人物が誰か分からずオドオドとしている。
愛姫は女子学生の方に顔を向け、深く被った帽子とマスクを取って微笑んだ。
「穂乃花ちゃん。」
「…。」
穂乃花は目の前にいる人物を愛姫だと思えず、ただ目を見開いたまま固まっている。
「やっと、会えたね。」
そんな穂乃花の緊張を和らげようと、優しい笑顔で愛姫は話しかける。
「ほ、本当ですか…。」
「ええ、本当、本物。富山愛姫です。」
「う、そ…。」
「正確に言うと初めましてじゃないものね。デビュー記念の名古屋でのイベント。わざわざ長野から来てくれたのでしょ?本当にありがとうね。」
「気付いてくれていたのですか…。」
「もちろん、ステージから見た時、穂乃花ちゃんだろうな、とすぐに感じた。」
「私…。」
感激のあまり口元に手を当てて涙が溢れている。