晴れ、時々、運命のいたずら
『話題のアイドルユニット、Ship!デビュー曲発売ミニLIVE!13時~。15時~。』
その文字と共に、Shipの2人が笑顔で写っている写真も大きく掲げられている。
特に注目する事無く、歩きながらチラ見する買い物客をよそに、穂乃花は暫くその看板を見つめたまま動かなかった。
(愛姫さん。)
ぱっちりとした大きな目に小さな口。
可愛い、と表現するのが一番似合う顔立ち。
そして、穂乃花を魅了した透き通るような歌声。
部屋で流していたラジオから聞こえた歌声。
一瞬にして穂乃花の心の中に入り込み、衝撃を与えた。
その時の衝撃は未だに忘れられない。
(直接愛姫さんの声が聞ける…。)
自然と嬉しさが込み上げてくる。
穂乃花はキョロキョロと周りの店を見ながら、会場である広場に辿り着いた。
小さなステージでは数人のスタッフが機材の設営や打ち合わせをしているが、開始時間まで暫くあるのでまだShipの姿は見えない。
ステージの前にはパイプ椅子が30席ほど用意されているが、休憩代わりにお年寄りが座っているだけで、Ship目的で座っているような人は見かけない。
どうやら穂乃花が一番だったようだ。
最前列の席にも座る事が出来たが、恥ずかしさもあったので、3列目のパイプ椅子に腰かけた。