晴れ、時々、運命のいたずら



(あと、15分。)



少しでも愛姫の綺麗な歌声を多くの人に聞いて貰いたいと思うのだが、なかなか席は埋まらない。



(デビューしたばかりだから、Shipの事、知っている人少ないのかな?)



いろいろ考えているうちに、後ろに誰かが座った事に気が付いた。



(こんなに席空いているのに…。)



自分の真後ろに座られた事に少し違和感を感じた。



(どうして私の後ろに座るのだろう…。)



気になるが、後ろを振り返る勇気を持てない。



(あと5分で始まるのに…。)



開始時間が近づくが、それほど席は埋まっていない。


お年寄り達は席を立ち離れ、座っているのは穂乃花と後ろに座った人物と、最前列に1人。



(少し怖いけど…。)



穂乃花はそっと後ろを振り返った。


黄色いパーカーに両手をポケットに突っ込み、俯きながらキャップを目深く被っている。


少し見ただけなので顔は全く分からない。


服装から察すると、若い男性のようだ。



(Shipのファンの人だろうか…。)



どうしていいか分からず、前を向き、じっとしていると、やがて司会者がステージ上に現れた。


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