SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~


「や、八木君…?」


いつの間にか、近付いた距離。

そこで初めて、自分の中の自制心が動き出した。


「もっ、もう!!

そんな、からかわないでよっ、―――。」


八木君の手のひらから逃げたくて、仰け反りながら顔を背ける。


「大人をからかわないのっ、―――!!」


一気に、―――――。


非常階段での、不意打ちのキスを思い出して、自分でも真っ赤になったのがわかった。


「せんせ、――――?」


両手で頬を包み込まれた瞬間、ぐらりと揺れた視線。


「熱、あるんじゃない?」


「はっ、――――?」


「顔、真っ赤。」


―――――――!!


「もっ、触んないでよっ!!」


「いや、そうじゃなくて、まじで。

亜澄さん、身体中、熱いよ?

熱、測ってみ?」


「へっ、―――――??」


「これ、絶対、熱あるって。

身体に熱が籠ってる感じがする。」


「んっ、―――!!」

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