おててがくりーむぱん2

2



「電話が鳴りっぱなしじゃない。どうしてくれるの」
普段穏やかで上品な表情の志賀が、鬼のような顔で怒鳴った。


事務所が荒れている。みな対応に追われていて、顔から笑顔が消えていた。


「まったく、ネットは本当に厄介だわ」
志賀がイライラしながら言う。


「情報が出ると分かってるなら、こっちも対応のしようもあるっていうのに。気づいたらもう検索トップだなんて、とんでもないわ」
志賀の髪は盛り上がり、化粧が崩れている。


「佐田、説明して」
孝志は首をうなだれて、志賀の前に立った。おしゃれなデスクに座る、鬼軍曹。


「どこから出たのこれ。皆川さんが出した?」
「違います。彼女はそんなことしない」
「じゃあ、誰よ。この写真持ってるのは、あんたたち二人のいずれかでしょ」
「……さあ」
「さあじゃないわよ。このデータを盗まれたのだとしたら、とんだ間抜けよ。なんでこんなベッド写真撮るの。脇が甘すぎる」
「すみません」
「まあ、しばらくすれば静かになるとは思うけど、評判は下がるわよ。覚悟しなさい」
「はい」
「外でこの件を質問されても、一切しゃべらないこと」
「はい」
「皆川さんとは、しばらく連絡とらないで」


志賀がそう言ったので、孝志ははっと顔を上げた。


「彼女、今きっと心細いと思います。会って安心させないと」
孝志は抵抗するように言った。


< 108 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop