おててがくりーむぱん2
「へ?」
光恵の口から、間抜けな息がもれた。
女性はつかつかと光恵の方へ歩み寄ると、まっすぐと瞳を見つめる。
「六年間、あなた以外に誰もいなかったなんて、どうして信じられるの?」
「えっ、えっと……」
光恵の頭は大混乱を起こしていて、何と答えたらいいかわからない。
「孝志さんは、一時、わたしを確かに愛してた」
「……」
「あなたの自信過剰には、呆れちゃうわね。この何年間か、彼を支えてたのはこの『わたし』」
そう言うと、彼女は勝ち誇ったような笑顔を見せた。
えっと……。
彼女は、この六年間、孝志の恋人だったってこと……なの?
「それなのに『ミツと結婚するから、家を出て行ってくれ』だなんて、どれだけ最低な男?」
「……ですよね……」
光恵は思わず同意する。
「とにかくこの結婚、もう一度考え直してください」
ぐいっと女性に顔を近づけられて、光恵はごくんと息をのむ。
……これは、現実?