おててがくりーむぱん2

6



ミツはああ言ってたけど。


孝志は、腕の中で静かな寝息を立てている光恵の頬に、愛を込めてキスをする。頬は柔らかくて、ほのかにピンク。耳に掛けた髪がくるんと巻いているところも、最高に愛しい。


自信がない。
どんなに仕事をしても、どんなに賞賛をもらっても。
光恵が離れるかもしれないと思うと、我を忘れてしまう。


あの元カレ。
多分、結婚したっていう、あいつだ。
そんなに心配することはないか?


孝志はそう考えてから、頭を振る。


いや、不倫ってこともあり得る。
あいつの目。
絶対にミツに未練がある。


孝志より少し身長が低くて、髪はふわふわ。
眼鏡をかけてて、笑うとえくぼが見えた。


俺とぜんぜんタイプが違う。
明らかに、俺より、随分と頭がよさそうだ。


孝志の眉間に皺が寄った。


結婚は光恵を離さないための手段。
自信がない自分への、保証。


孝志の中にある焦りと不安は、時間とともに大きくなって、破裂しそうになってくる。


あいつにもう一度念を押しておこう。
光恵に二度と近寄らないように。


孝志はそう決めると、目を閉じて、再び光恵の頬にキスをした。


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