おててがくりーむぱん2


「今答えを出さなくてもいいよ。光恵が佐田さんを好きだってことは分かってるから」
「……」
「いい男だよな。それはよく分かるよ。すごくおもしろいし」
「何それ」
光恵の心も、少し緩む。


「はあ、久しぶりに、佑司に追いつめられた」
「人聞き悪いな」
「就職するときも、こんな感じだった気がする。正論なんだもん」


佑司は申し訳なさそうな顔をして、それから光恵の頬を手の甲でそっと触った。


「必死になると、こんな風になる。俺も……佐田さんとおんなじで、感情で動きすぎてるのかもな」


佑司は気持ちを切り替えるように息を吸い込むと、ポケットに両手を入れて「もどろっか」と声をかける。


「うん」
光恵は佑司が触れた頬に手を当てた。



かつて愛した人。二度と会わないと思っていた。
でも今、現実に目の前にいる。


今愛する人は……
目の前にいても、どこか夢のようで。


わたしはどうしたらいいんだろう。


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