木曜日の貴公子と幸せなウソ


「実はですね、協力してもらいたいなと」

「協力?」


一口食べたら、思っていた以上に美味しかった。

家でもあまり牛丼を食べる機会はない。

貴重な経験を今しているんだなと、感動してしまう。

美味しいんだけど……!


「聞いてる?話」

「あー、はいはい。いや、その牛丼が美味しくてですね……」

「アハハハ。じゃあ今度、一緒に行けばいいじゃない。例の彼と」

「……」


有坂先生の言葉に、ご飯が喉に詰まった。

せき込みながら慌てて水を飲む。


「……すみません、話を聞きます」

「うん。よろしい」


卑怯だ、有坂先生。

涼しい顔で腹黒い攻撃を繰り出すなんて、卑怯だ……。

私は水の入ったコップを置いて、有坂先生の方を向いた。

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