木曜日の貴公子と幸せなウソ


心なしか、有坂先生の顔がほんのり赤いような気がした。

気のせい?

でも、何で……?


「……夏江先生って彼氏いるんですかね?」

「は?夏江?」


少し言いにくそうに口を開いた有坂先生。

突然出て来た名前に、少し驚きながらも首をかしげる。


「いないと思いますけど。夏江がどうかしました?」

「……取り持ってもらえませんか?」

「取り持つ?」


意味がわからなくて聞き返すと、有坂先生が苦笑いをする。


「萌先生って、意外と鈍感なんですね」

「ど、鈍感って、失礼な!何なのかハッキリ言わない有坂先生が悪いですよ」

「あー、そう言われてしまうと……」


さっきまで敬語が吹っ飛んでいたのに、急に敬語まじりで話す有坂先生はどこか余裕がない。

爽やかイケメンが赤い顔でオロオロしているのを見るのは、かなり貴重かも。


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