木曜日の貴公子と幸せなウソ


結婚前の遊び相手。

それは、『元カノ』とは呼べないほど低い地位だったと思う。

知らなかったとはいえ、本気で恋をした。

先輩の一言一言が本当に嬉しかった。

だから、真実を知った時はこの世が終わったと思うくらい、喪失感でいっぱいだった……。

この思いをどこにぶつけたらいいのかわからなくて、自暴自棄になった事もある。

どうにもならなかった。

忘れるしかなかったんだ。


「……まさか、父親としてあそこで再会するとは思いませんでした。まあ、年少さんは預かり保育が開始したのは2学期からだし、仕方ないかもしれないですけど」

「木曜日が定期健診なんだって。エミちゃんのお母さん」

「そうですか……」


私が知らないのに、体操の先生である有坂先生がなぜ知っているのかはわからない。

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