木曜日の貴公子と幸せなウソ


背伸びをして無理に大人になろうとしなくてもいいんだって、よくわかった。

自然体が一番いい……。


「座って。今、お湯沸かしてくる」

「うん……!」


邦章はダイニングテーブルを指さして、キッチンに入った。

私は大きくうなずいて、適当な場所に座る。

鍋敷きを持ってきた後、邦章は1人用の土鍋をその上に置いた。


「食べられるだけでいいから。無理しなくても」

「……おいしそう」


土鍋のふたをとると、湯気が一気に舞い上がる。

卵でとじてあるおかゆは、本当に美味しそうだった。

ココアとおかゆという、ミスマッチな組み合わせ。

だけど、私にとってココアはなくてはならない物なので、どんな食事であっても、ココアがミスマッチと思った事はない。


「……姉貴の旦那は姉貴と10歳離れているんだ」

「……そうなんだ?」


ココアを一口飲んだ時、向かい側に座った邦章がポツポツと話し始めた。


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