アルマクと幻夜の月



見たところアスラとそう年の変わらない、美しいながらあどけなさを残した顔立ちをしている。


(……スルターナは、あんな娘に母上を殺させようと言うのか)


踊りを楽しむ心の余裕などないまま、アダーラの踊りは終わる。

すると、中心の少女がたおやかな仕草で前へ進み出た。


少女は艶やかな笑みを国王マリクと妃ナズリに向け、用意された金の杯に並々と酒を注いだ。


ナズリが細い手で杯を持ち上げ、口元に寄せた。

少女は、毒を入れたのだろうか。

スルターナはどこかで見ているだろうか。

――ナズリが死ぬところを、今か今かと待ち構えているだろうか。


(スルターナは残念だろうけど、母上は死なない。

だって、母上は毒のことを知っているのだから)


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