アルマクと幻夜の月
アスラが隣で見ている目の前で、ナズリは杯の縁に口をつける。
そして杯を傾けると。
――袖に流し込まずに、そのまま飲み込んでしまった。
アスラの余裕の表情が一瞬にして崩れ去る。
「母上!?」と、思わず上げた声に、
その場にいた貴族も民衆も、父王も不審げにアスラを見た。
直後。
「う…………っ!?」
小さな呻き声がアスラの耳に届き、ナズリが椅子から崩れ落ちた。
「母上……!!」
アスラの声に重なり、人々の悲鳴が辺りに響き渡った。