僕を止めてください 【小説】
退院の前に、病室では失神した僕をナースセンターに運んでくれた小島さんに母親がお礼を言っていた。僕の母親を見る小島さんは、申し訳無さそうな不思議そうな困った複雑な顔をしていた。僕も、こんなところで母親と小島さんが言葉を交わしていることに驚きを覚えた。小島さんに他人行儀な挨拶をして、僕は病室を出た。
失神のおかげで今後も僕は、経過観察としてこの病院で月に一回ほど診察を受けなければならなくなった。またここに来る。小島さんは退院しても、ここの外来で鬱の治療をする。今度会うのはこの病院かも知れない。
僕は母親に連れられて帰宅した。迎えに来た時から母親はいつもと少し違っていた。思いつめているような感じで、それは僕の見たことのない顔だった。寺岡さんがあのときなにか言ったのだろうか。それとも僕の症状が案外深刻なんだろうか。
すぐに卒業式が来て、僕は中学校を卒業した。4月になれば僕は高校生になる。そして僕はもう一度考えな直さねばならない。本当に小島さんに僕が必要かどうかを。