僕を止めてください 【小説】
「高校時代もいつも気分が沈んでて、あんまり楽しいことはなかったって。空手の道場だけが唯一の心の支えだったとか言ってたな。人を殴ったり倒したりするときだけ自分が生きてる実感があったって。それでドSになったらしいよ」
「まだ殴られます?」
「いや、ウツが治ってからはあんまり暴力振るわないね。エッチのときに首絞められるくらいかな。ごめーん、のろけちゃったぁ」
「仲良くやってるんですね」
「うん。平和だよ。平和で愛のある日常ってやつさ。そんなものを自分が手に入れられるとはついぞ思ってなかったけど!」
「良かったです」
「そんなこんなで小島くんは私と一緒になってちゃんとした生活になったし、免疫爆上がりよ」
「寺岡さんが居てくれて本当に良かったです。僕にはなんにも出来なかったので」
心底ホッとした気持ちになった僕は、あふれてくる感謝を自然に言葉にしていた。
「何言ってるんだ? 私は君には頭が上がらないのに」
「え…なんで」
「私は一生の恩義があるの! 君に!」
「そんなもんですかね」
「そうだよ。おまけに君は謙虚なのか意固地なのか恩着せがましくないから恩返しのチャンスなかったんだからね」
「じゃ、今ですね」
「ほんそれよ」
そう言うと寺岡さんはにっこり笑った。
「コーヒー飲み終わったら、部屋に行ってゆっくり話そう。例の件」
「ああ、そうですね。お願いします」
僕もようやくぬるくなったコーヒーを一気に飲み干した。
「まだ殴られます?」
「いや、ウツが治ってからはあんまり暴力振るわないね。エッチのときに首絞められるくらいかな。ごめーん、のろけちゃったぁ」
「仲良くやってるんですね」
「うん。平和だよ。平和で愛のある日常ってやつさ。そんなものを自分が手に入れられるとはついぞ思ってなかったけど!」
「良かったです」
「そんなこんなで小島くんは私と一緒になってちゃんとした生活になったし、免疫爆上がりよ」
「寺岡さんが居てくれて本当に良かったです。僕にはなんにも出来なかったので」
心底ホッとした気持ちになった僕は、あふれてくる感謝を自然に言葉にしていた。
「何言ってるんだ? 私は君には頭が上がらないのに」
「え…なんで」
「私は一生の恩義があるの! 君に!」
「そんなもんですかね」
「そうだよ。おまけに君は謙虚なのか意固地なのか恩着せがましくないから恩返しのチャンスなかったんだからね」
「じゃ、今ですね」
「ほんそれよ」
そう言うと寺岡さんはにっこり笑った。
「コーヒー飲み終わったら、部屋に行ってゆっくり話そう。例の件」
「ああ、そうですね。お願いします」
僕もようやくぬるくなったコーヒーを一気に飲み干した。