ビター・スウィート



でも菜穂ちゃん、やっぱりしっかりしているなぁ。年下とは思えない。私も、見習ってしっかりしないと!

気持ちを強く持って、きちんと内海さんに伝えたい。けど伝えるにはどうしたら……?



うーん、と歩きながら私は下の階にある社員食堂を目指すべく、階段を下ろうとする。



「あ、永井」

「へ?わっ、内海さん!?」



すると背後から声をかけてきたのは噂をすればなんとやら……内海さんだった。

今日も相変わらずその首元にはネクタイはなく、開かれた襟から浮き出た鎖骨が見える。



は、恥ずかしくてなんか顔が見づらい……。



「ど、どうしたんですか?」

「頼みたい仕事があってな。この資料に概要は書いてあるから、よく読んでやってくれ」

「あ、はい。わかりました」



そう手渡される書類を受け取ろうとする、が、互いにタイミングが合わず私の手は彼の手にトンッとぶつかってしまう。

びくっ、と意識し手は上手く書類を受け取れず、紙は落ちバサバサーッとその場に散らばった。


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