ビター・スウィート
「あー……いつも、こうやって素直になんでも言えればいいんだけどな」
「え?」
「どうもいつも、マイナスな考えとか、いろんなもんが邪魔して上手く言えねぇ」
向かい合う彼は、真っ黒な瞳に私を映し出す。
「さっきのこと、本音か?」
「えっ!あ……はい、全部本音、です」
広瀬先輩に話した、内海さんへの気持ち。それらは全部、全部、本当の気持ち。
だから胸を張って、伝えるんだ。
「私は、広瀬先輩の代わりなんて求めてません。内海さんだから好きなんです」
あなただから、内海さんだから。
「内海さんのことが、大好きなんです」
真っ赤な頬で、笑って伝えた私の精一杯の気持ち。嫌われても拒まれても、大好きなあなたへ。
「だから、その……」
言葉の続きを言おうとした私に、内海さんは腕を引っ張り体を抱きしめた。
強く、強く抱きしめる腕は、痛いくらいの力を込めて、『離さない』そう伝えるように。
「お前は、本当なんなんだよ」
「え!?なんだ、と言われても……」
「広瀬のことばっかり追いかけて、すぐ泣いて、かと思えば好きだとか言い出して……わけわかんねぇ」
彼の低い声が、耳元に響く。
「そんなお前のことが気になって、ほっとけなくて、挙句愛しいとか思う自分が一番わかんねぇ」
それはきっと、彼の抱く“伝えたい”想い。