キスから始まる方程式
あ……昨日のホッカイロのお礼言わなくちゃ。
「あ、あのさっ、翔」
「ん?」
アーモンド形のクリクリとした瞳が、私へと向けられる。
不意に交わった視線に、途端に私の胸がドキドキと高鳴りだした。
こ、こらっ、私の心臓! そんなに騒ぐなって!
「えっと、その……」
「?」
焦れば焦るほど素直に言葉が出てこない。
そんな私を見て、不思議そうに首を傾げる翔。
「あの、昨日ホッカイロありが……」
「風間君!」
!?
やっとのことで絞り出した私の言葉は、背後から聞こえてきた誰かの声によって途中で遮られてしまった。
一斉に後ろを振り返る私と翔。
そこに立っていたのは、まさに『可憐』という言葉を絵に描いたような美少女だった。