キスから始まる方程式
「お前、なーんか隠してるだろ」
「うっ……」
「 この指輪誰から貰ったんだ?」
相変わらず察しがいい桐生君。
いきなり直球ど真ん中で核心を突いてくる。
けれどもちろん、そんなことをバカ正直に話すワケがない。
「……自分で買ったの……」
「ふーん……。自分で……ねぇ」
私の苦し紛れの返答に、桐生君が探りを入れるような目つきで見つめてくる。
明らかに納得していない様子だ。
「でもよぉ、普通自分で買ったモンを、後生大事に袋に入れて持ち歩くか?」
「う……」
「しかも指輪だぜ? どう考えたって大事なヤツから貰ったとしか思えないだろ」
「うぅ……」
見事なまでの的確な指摘に、返す言葉がみつからず言葉につまる私。
そんな私を見て確信したのか、桐生君がニヤリと含みのある笑みを浮かべながら口を開いた。