キスから始まる方程式
「そっ。コイツが俺の『彼女』」
「ちょっ!? 桐生君!?」
「ウソでしょ!? 冬真、正気なの!?」
女の子達が、皆一様に信じられないといった顔をしている。
無理もない。
今までこの子達のほうが、私なんかよりよっぽど桐生君のそばにいたのだから。
「冗談だよね冬真っ」
「彼女がいるって言ってチョコ受け取らなかったの、あれ、甘いモノが苦手だからその口実じゃなかったの!?」
「今まで冬真、特定の女の子とは絶対付き合ったりしなかったじゃないっ」
ファンクラブの女の子達が、次々と桐生君に疑問や不満をぶつけて行く。
しかし、女の子と桐生君の間でおろおろとうろたえている私とは対照的に、桐生君は全く動じる様子がない。
そんな桐生君に逆上したのか、女の子のひとりが禁断の一言を口にした。